あっ韓ニュース

　12月下旬、新内閣発足を受け共同通信社が実施した全国世論調査で、内閣が最優先で取り組むべき課題を「経済政策」「社会保障」とする回答がともに50％前後だったのに対し、「安全保障や外交」が9.8％、「憲法改正」は5.8％にとどまった。

　当然だが、内閣には国民が望む政策を推し進める義務がある。国民の多くは「景気回復の暖かい風を全国津々浦々に届ける」という約束の行方を見守っている。そんな中、首相は経済政策を最優先の課題としつつも、「公約でも街頭演説でも訴え、国民の支持を頂いた」として、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を踏まえた安全保障法制の整備に意欲を見せる。

　戦後70年の首相談話も注目される。戦後50年に「国策を誤り、植民地支配と侵略によって、アジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」とした村山富市首相談話（1995年）、その歴史認識をほぼ踏襲した戦後60年の小泉純一郎首相談話（05年）に続くものだが、「侵略」と「謝罪」をどう受け継ぐのか、内容によっては中国や韓国が神経をとがらせる歴史認識問題が再燃しかねない。

　政治をはじめとする各界で、先の大戦を自ら体験した人が少なくなり、国としての「誇り」や「名誉」を強調する言説が勢いを増している。

　戦火を体験した人が少なくなったのは本県も例外ではない。それでも、70代以上の「最後の世代」が本紙取材に語ってくれた。「忘れたいけど、忘れられないことだらけ。戦争と聞くだけで、体が震えて涙が出る」「今の国会議員は、戦争の怖さを知らない」。どの言葉にも平和への願いと不戦の決意がにじむ。

　戦後70年の節目に、日本がどこに向かうのか、しっかり見極めなければならない。  

ソース：東奥日報　2015年1月1日
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2015/sha20150101.html